【学校コラム】大学生が「キャリアを学ぶ」意味を考える(Ⅵ)変化の時代のマインドセット|個人と組織の課題解決のためにー「NKSソリューション・プログラム」

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【学校コラム】大学生が「キャリアを学ぶ」意味を考える(Ⅵ)変化の時代のマインドセット

前回コラムで 「キャリア・アンカー」について述べましたが、より変化の激しい時代環境を生きていくことになろう現在の大学生には、さらに発展的に「変化の時代」に対するマインドセットができるように、キャリア・アンカー、そして内発的モチベーションについて、ぜひ意識化してほしいと思います。

そこで今回は、「変化の時代のマインドセット」について考えてみたいと思います。

 

(5)変化の時代のキャリア理論

社会は、常に変化していきます。特にこれからの時代は、大きく、想像を超えた変化に遭遇することも有り得ます。そのような環境にあっては、「自分がどうありたいか」だけでは適合できないかもしれません。

このような「変化の時代」に必要になるのは、「予測できない出来事、偶然に起きた出来事を“キャリアを再考する機会、学びの機会”と捉えてプラスに変換させる」というマインドセットと行動特性です。そのため、これからの大学生が生き抜かなくてはならない時代環境に必要なキャリア概念について学ぶことが、現在の大学生には必要かと思われます。

 

中でも、ぜひ認識しておきたい概念が、J.D.クランボルツ(John .D. Krumboltz/教育学者・心理学者)が提唱した「計画的偶然性理論」(Planned Happenstance Theory)です。

この概念は、「個人のキャリア形成を、従来のキャリア論より幅広く捉え、その8割が予期しない出来事や偶然の出会いによって決定される」と考えるもので、90年代に出てきた最先端のキャリア理論であり、変化の時代のためのキャリア理論とも言われています。

先述した、「予測できない出来事、偶然に起きた出来事を“キャリアを再考する機会、学びの機会”と捉えてプラスに変換させる」というマインドセットと行動特性が重要である、という観点を基調とした「偶然の出来事をキャリアの機会に変える(Planned Happenstance)」5つのスキル=実践するために必要な行動指針、というものを提唱しています。

◆「偶然の出来事をキャリアの機会に変える(Planned Happenstance)」5つのスキル

①好奇心[Curiosity] ・たえず新しい学習の機会を模索し続けること

②持続性[Persistence] ・失敗に屈せず、努力し続けること

③楽観性[Optimism] ・新しい機会は必ずやってきて実現する、可能になると、ポジティブに考えること

④柔軟性[Flexibility] ・固定観念、決め付けをせず、ロックアウトをしないこと

・アンカーを大切にしつつも、固執せず、態度、行動を変えること

⑤冒険心[Risk Taking] ・結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと

 

さらにクランボルツは、キャリア形成に影響を与え成長サイクルにつなげるものとして、「課題へのアプローチスキル(意思決定スキル)」を重要視しています。

◆「課題へのアプローチスキル(意思決定スキル)」のポイントと流れ

①解決すべき問題を明確にする

②行動計画を立てる

③価値観を明確にする

④興味、能力、価値観をベースに選択肢をつくる

⑤選択肢の結果を予想する

⑥合理的な判断の元、選択肢を絞っていく

⑦行動を開始する

 

「予測できない出来事、偶然に起きた出来事を“キャリアを再考する機会、学びの機会”と捉えてプラスに変換させる」というマインドセットと行動特性が重要である・・・このことは、新入社員、中堅社員、管理職、経営者、起業家等の企業人のみならず、個人事業主、あるいは家庭人等々も含めた社会人全般にとって重要な認識となってきています。

となれば、とりもなおさず、これから社会に出て行く若者にとっては、尚のこと重要であると考えるべきかもしれません。

 

自分自身のキャリア・アンカーを拠りどころにしてキャリア形成を行いつつも、変化の時代に適合していくスキルが現在の大学生には必要となっていることは、明白です。

J.D.クランボルツの「偶然の出来事をキャリアの機会に変える(Planned Happenstance)5つのスキル」にも、 「課題へのアプローチスキル」にも、共通して見られることは、自己理解そしてキャリア・アンカーの自覚が根底にありつつも「固執せず、行動を変え、リスクを取って行動を起こす」ことの重要性です。社会・仕事経験がまだなくても、大学生活という様々な機会の中で、ぜひ、このようなことを認識し、行動に繋げていく経験をしてほしいと思います。

 

 

次回は、これまでのキャリア概念を踏まえたうえで、あらためて「自己理解」について、考えていきます。

 

文責:NKS能力開発センター 恵 大介

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